高気密高断熱住宅の計画 屋根断熱or天井断熱問題
今回も前回の続きの内容を書かせて頂きます。高気密高断熱住宅では、設計段階から計画的に納まりを考える必要がある旨をお伝えしておりますが、それは構造材の伏せ図、プレカット加工の内容にも係ってきます。
先ず、皆さんが一度は悩む事としまして、前回にも少し触れました“屋根断熱or天井断熱問題”や“基礎断熱or床下断熱問題”があり、その選択肢の違いでも考えは変わりますし、断熱材の種類や厚みによっても内容は異なります。
“屋根断熱or天井断熱問題”については、様々な考えがあり、どちらが正解かは無いと思います。いずれも、メリット・デメリットがあるので、やりやすい方を選べば良いですが、あしづかホームでは、屋根断熱を選択しています。
理由はいくつかございまして、以下のように考えております。
1.断熱、気密の施工性が良いと考える
2.ダクトスペースが確保できる
3.小屋裏空間を有効利用できる(ロフトやエアコン設置)
1につきましては、基本的な考えとしまして、屋根断熱の場合、登り梁形式で施工するのが合理的であると思っております。登り梁の背(高さ)を統一することで断熱層を揃えることが出来ますし、余計な断熱層用の木材料を省くことが出来ます。また、桁から登り梁にかけての束が少なく出来ますので室内側での気密シート処理が行いやすいです。また、このケースは通気垂木を施すので、実質的に野地板が2枚あるような形で、登り梁に設置する野地板は壁の耐力壁同様になりますので、屋外側での気密もとりやすくなります。
2は、純粋に小屋裏空間に余裕があるので、換気システムのダクトスペースが確保しやすいです。ダクトタイプの換気システムを標準的に施工されている方ならお分かりかと思いますが、ダクトの取回しは意外にも苦労します。安易に最短距離ばかりで曲げていくと、抵抗が大きくなったり、断熱の被覆がしにくかったりと、決して良いとは言えません。そういう意味では、その施工部分にスペースがある方が、確実な仕事が出来るのではないかと考えております。
最後に3です。理由は2と同様ではありますが、余裕の空間が出来るために、その空間を有効利用することが可能になります。例えば、ロフトを造り収納として使用する事も出来ますし、第1種換気システムと組合せるダクト式のエアコン(アメニティタイプ)をその空間を利用して設置することも出来ます。天井断熱の場合は、ダクト式のエアコンを設置する場合、階間等の比較的高さが限られ、かつ、塞がれた空間に設置することになりますので、メンテンスやトラブルが起こった際の修理等がやりづらいという懸念があるように思います。
このように、屋根断熱か?天井断熱か?という答えを出すにも、様々な理由がありますし、いずれを選ぶかによっても、構造材等の選定に影響もでてきます。
そして、選択した断熱方法に沿った断熱材の施工に対して、又、気密の処理についても図面上で注意点を確認しておくことで、現場での工事がスムーズに運び、施工の精度も安定するのではないかと考えております。
次回は“基礎断熱or床下断熱問題”について考えてみたいと思いますので宜しくお願い致します。
蘆塚
2023.12