高気密のC値はいくつから?
この数年で高気密高断熱住宅というフレーズを謳い文句にしている住宅会社が非常に多くなりました。その事に関しては、全体的に意識が高まり良い方向にむいている証だと思いますので嬉しく感じます。
しかし、その高気密とは、いったいどの辺りの性能を有していると思われますか?
何せ、基準が無いため全然わかりませんよね。という事で私が実際に実務していて感じていることをお話しします。
先ずは、気密を数値で表す際にC値というものがあります。これは建物全体の隙間を測定して結果を確認する俗に言う“気密測定”で内容がわかります。
断熱性能を示す、UA値やQ値は部材構成による計算で数値を確認するのですが、C値に限っては、あくまでも実測です。ですので、測定を行っていない建物で、「大体これぐらいです」という事は、絶対にあり得ないことで根拠が無い言葉になってしまいます。
気密測定を行わない建物に対して高気密というのは、先ずは無しです。
それでは、気密測定を行っている建物の場合はどうでしょうか?C値いくつからが妥当でしょうか?
私が高気密高断熱といわれる建物工事に携わって6年ほどになりますが、当初は世間一般的にC値1.0を下回ったら高気密みたいにいわれてました。実際、その施工レベルでされている建築会社は、ほんのごく一部でした。しかし、現在では6年間前から比べると、この種の建築会社もかなり増えて施工レベルも全体的に上がっております。又、施工する者の数が増えるという事は情報量も自ずと増えてノウハウがつかみやすくなっています。
そういう事を踏まえると、現時点ではC値1.0の施工レベルでは完全に物足りなくなってきており、現場を見た感じも少し粗さがあったり、処理の甘さを感じてしまいます。
しっかりと気密処理の要点を抑えて、普通に丁寧な仕事をすれば特別な技術がなくてもC値0.5を下回ることは可能です。
又、年間暖冷房需要(負荷)の値で比べてもC値1.0と0.5では結構影響がでてきます。その証となるのがドイツのパッシブハウス基準ではC値で表すと0.2を下回るようレベルにしないといけないということにつながっていきます。
以上の事を考慮すると、現在では高気密といえる基準は「C値0.5以下」必要と思います。
蘆塚
2019.08