透湿防水シート
11月に入って昨日あたりから急に寒くなりましたね。
さて、突然ですが透湿防水シートという材料はご存じでしょうか?
ご存じ無い方もおられると思いますので、簡単に説明させて頂きます。画像の黒いものが透湿防水シートになりますが、外壁材の下地となる防水シートの事で、水を通さない役割があります。更には“透湿”という言葉が示すように湿気(水蒸気)は通します。
この2つの一見矛盾するような役目をはたしてくれるシートの事が、透湿防水シートと呼ばれまして、外壁材の下地としては欠かせない材料です。
よく目にするのは、白色のものが多いかと思いますが、黒色やシルバー色などもありまして、メーカーや繊維の内容によって色が異なりますし、性能も様々で金額もピンキリとなります。
それでは、何故、外壁の下地にこのシートが必要なのか?
そもそもの始まりは防水性の向上という意味合いからであると思います。
外壁材(仕上材)に防水性能があれば、特に必要ないようにも見えてしまうかもしれませんが、外壁材の防水性能は絶対的ではありませんし、新築当初は大丈夫であっても、後に経年の劣化等によって防水性能が落ちたり、接点のシーリングが割れたり剥がれてしまう事もあります。
そういう時の為に、防水層を設けて室内側(躯体内)への雨水等の侵入を防ぐようにします。
それでは、次に“透湿”とは何の為に必要なのか?
恐らく、20~30年ぐらい前までは、透湿が必要とする考えは無くて、単なる防水シートでありました。しかし、時代の流れで建物に断熱材が施工されるようになってから、壁体内結露という問題がでてきます。
それは、断熱材が施工されることによって、内外温度差で壁体内に水蒸気が発生することが分り、その水蒸気を外部へ放出する仕組みにする事が必要となります。
防水シートの外側に通気層を設け、防水シートには透湿する性能を持たすことで、壁体内の水蒸気を外側に逃がして結露を防ぐという理屈です。
日本では、断熱材が入る以前の建物は、いわゆる湿式(土壁)が主流でありまして、窓(開口部)周りは隙間が空いているのが当たり前で、多少の雨水等の侵入は仕方ないという考えであったように思います。
その為、乾式(通気層を設ける工法)に移行していく中でも、なんとなく湿式の施工のような感覚で建てられていた部分もあり、なかなか、現在のように防水や通気層といったものが、上手く広まらなかったような気もします。
しかし、近年はその辺りの理解がようやく広まり、透湿防水シートの施工に対する意識も高まり、以前から比べると製品バリエーションも増えております。
その製品の事などは、次回に書かせて頂きますので、今回はこの辺りで終了します。
次回も引き続き宜しくお願い致します。
蘆塚
2024.11