気密シートの施工は難しい?

前回に続き気密シートについてです。

気密シートが日本で一般化されない理由として“施工が難しい”という声をよく聞きます。

実際のところ、それが大きな理由となってしまっているのが現状なのでしょう。

しかし、それは真面目に気密処理を行わないというのが前提としてあるからで、真面目に気密処理を行うというのであれば決して難しい作業であるとは言えないと思います。

今まで日本の建築業界では、建物の断熱や気密の性能は、あまり必要が無いようにされてきました。それがどういう理由でなのかは分かりませんが、未だ建築基準として義務がないことが、その証と言えます。

そういう土壌であるがため、真面目に気密処理を行うという考えが業界全体に無く、それを真面目に行っているビルダーや団体があれば“変わり者”扱いされ、真面目に行わない方が大多数で正義みたいな扱いになっておりました。

その為、最初に申し上げた“真面目に気密処理を行わない”がまかり通り現在でも多くのビルダーがそのままの感覚で住宅を建て続けている訳です。

その間違った感覚が“正解”として施工をしていると、気密シートを使用しない方が、仕事が早く進み楽で、しかも費用も安く抑えられるので良い事しかありません。

しかし、それが“不正解”と分かり“真面目に気密処理を行う”という考えに変わると今までのやり方では、絶対に満足できる気密性能が得られないという事に気づきます。

例えば断熱材を“袋入りグラスウール”で今まで施工していた場合、その材料のままで確実な気密処理を行うとなった時に、どれだけ難しく作業性が悪いのだろうと感じるはずです。

その時に初めて“裸のグラスウール”と“気密シート”の施工に対して理解が出来るようになり、その方法で施工した方が全然スムーズで難しく無いと思えるはずです。

その感覚を上手くお伝えするのが、なかなか難しいのですが、例えば美味しいコーヒーを淹れる場合に、「豆を挽いてハンドドリップで淹れる」事が確実な方法であると思います。

しかし、一般的に手軽と思われるインスタントコーヒーを使用して同じ味をだすとなると、色々な手を尽くしても結果は「豆を挽いてハンドドリップで淹れる」よりも美味しくならないと思います。

要はそういう事です。分かりますか...?

様々な物事で“正解”となるものは、少し手間がかかっても、結果的には手間がかからず近道となることが多いのではないでしょうか。

建築業界では、そのような事が特に多い気がします。

蘆塚

2022.10

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