太陽光発電とパッシブハウス
前回に続き、もう少しカーボンニュートラルの事を書かせて頂きます。
本当に最近、カーボンニュートラルに関連する動きや記事が全体的に増えてきたと思います。
世の中の関心も増えて良いなと思える半面、こういう変化が起こる時には必ず間違った考えや無駄な事もでてきます。ある程度は仕方が無い事なのかもしれませんが、それが将来にどれ位悪影響をおよぼすか、そこをしっかり検討してから進めるべきで、とりあえず楽なことから進めるべきではないのは確かです。
住宅に係わるカーボンニュートラルには、使用するエネルギーを化石燃料から太陽光発電等の再生可能エネルギーに切り替えるという事と、そもそもの使用するエネルギー量を減らすという事の両方が必要になります。
使用するエネルギーを将来的に変更することは比較的に簡単に出来ると考えますが、建物全体でのエネルギー使用量を減らすことは、始めにやっておかないといけない事で後から変更することが極めて困難です。
今は、これからの住宅政策に関して、色々と議論が進められている事かと思いますが、どうも太陽光発電等の設置についてのみ積極的に進んでいる気がしており、私個人としてはあまり共感できません。
将来の耐久性、処分の事、又、余剰の問題などこの辺りをどう考えて進めていくのか、そこの議論が見えません。
一方、エネルギー使用量を減らす躯体づくりに関しては、あまり積極的な議論がなされている感じがありません。凄く時代錯誤な躯体性能を持ち出して基準をつくってしまいそうで、かなり心配です。
この躯体づくりこそ、積極的に高い基準で進めるべき事で、今やっておかないと必ず後悔します。
先々を考えれば、先ずは後からリフォーム等で変更の難しい断熱気密性能の高い躯体をつくり使用エネルギー使用量が少ない建物にして、太陽とうまく付き合う設計技術を高めるという“パッシブハウス”の考えを優先するべきです。
そういう建物にすることで、太陽光発電等を設置する場合も、明らかに搭載面積が少なくて済むわけですし、搭載面積が減ることで、そこに対する製造時のCO2削減、将来の処分や余剰のリスク減にもつながっていきますので、良い事尽くめに思うのですが...
皆様は、どのように思われますか?どうか、真っ当な議論が行われることに期待したいです。
蘆塚
2021.05