冬の空気 建物次第!?
前回の続きです。
建物内の湿度を比較的容易に保つ方法ですが、先ず高気密高断熱の建物である事が前提になります。
先ず断熱性能は、滋賀を含む関西エリアでUA値0.3台以下が必要と考えており、気密性能はC値が0.5以下であることが望まれます。これぐらいの躯体性能になりますと室内の空気が安定してきて使用する換気システムや空調が素直に働いてくれます。
素直に働いてくれるが故に選択する換気システムでも室内環境が変わります。
例えば、住宅で使用される換気で第1種と第3種が主流かと思いますが、この二種類でも湿度の値が全然異なります。
あしづかホームでは、同じ敷地内にコンセプトハウス棟と事務所棟の2棟あり、それぞれの断熱仕様は全く同じで、気密も殆んど同レベルです。但し、換気システムだけは建物の使用方法が違う為に異なるタイプのものを採用しております。
コンセプトハウス棟は居住空間なので“第1種全熱交換型”、又、事務所棟は商業スペースもあるためにあえて“第3種”を使っており、それぞれに特徴や変化がわかりやすく、常に室温や湿度をチェックしています。
その中で、温度に関しては殆んど違いを感じることは無いのですが、湿度に関しては結構異なる数値となります。
1枚目の画像は、コンセプトハウス棟の温湿度計で湿度が58%ありますが、2枚目の画像は事務所棟の温湿度計で湿度が41%になっております。この2つの画像は今年の2月に同じ日の同じ時間帯に撮影したものですが、換気システムの違いだけでこれだけ湿度が変化するということです。
そうなんです!第1種全熱交換型を使用するだけで冬場の湿度は殆んどの日で50~60%をキープしてくれるのです!特に加湿器を使用する訳でもなく、換気システムの運転をしているだけでです!
建物性能や換気の選定だけで、このように簡単に湿度が保てる方法があるのでひとつ参考にして下さい。
逆に考えますと、建物性能がよろしくない場合は外気の影響を受けやすかったり、換気システムの能力が活かせず室内の湿度をコントロールすることが難しくなります。
但し、換気システムの種類は、立地やライフスタイル等により第3種が良い場合もございますので、そこはケースバイケースで設計者やビルダーの方とご検討下さい。
蘆塚
2019.02