世間は断熱等級5以下が主流
関東を通過した台風の影響なのか少し秋っぽい気候になってきましたね。
さて、今回は、今年の7月に断熱材メーカーのマグ・イゾベールさん主催の実務者向けセミナーで、私が少しお話しさせて頂く機会がございましたので、その時に感じた事を書かせて頂きます。
そのセミナーの主旨は、これから断熱等級6よりも上のクラスを建てようとするビルダーさんや材料販売店さんに向けて、そのメリットや必要性というものを理解して頂くためのものでありました。
ただ、その内容をお話しするのが、口下手な私ですので、話す技量的に1人で数十分もお話しできる訳もなく、事前に主催者さんへ進行役の方と対話形式になるようお願いしていたところ、セミナーの話の途中に、受講者さんに向けて数回アンケートを取って頂く事になりました。
そのアンケート結果が、結構、参考になる内容でしたので紹介させて頂きます。
いずれの質問も興味深いものでしたが、その中で「現在の自社の断熱性能レベル?」というものがあり、受講されたビルダーさんに現在の断熱仕様をお答えいただきました。
結果としましては、断熱等級5以下が65.4%で、断熱等級6以上が34.6%という事でおよそ2/3が断熱等級5以下という内容です。
ただ、受講されているビルダーさんは、これから先を見据えて意識を持ってセミナーに参加されていると思われますので、どちらかと言えば進んだ考えの方が多いと考えられます。
ですので、実際の世間的には断熱等級5以下のビルダーさんの割合がもっと増えるのかもしれません。因みに、断熱等級5以下の内訳では、断熱等級5が44.9%で、断熱等級4以下が20.5%となります。
断熱等級5とはUA値で示すと、近畿エリアでは0.6です。仮に気密がある程度確保されているとしましても、結構な温度ムラができるレベルではあります。やはり、高気密高断熱を謳って販売するのであれば、ちょっと性能不足は否めない感はあります。
それが、断熱等級6になればUA値は0.46になりますので、少しマシにはなりますが、私が持つ感覚では、正直なところ断熱等級5と50歩100歩です。
しかし、そこから上のレベルというのが、施工的にも、又、コスト的にも、ためらう理由が出来てくるものだと思います。
でも、世界を見渡せば、そんな理由でためらっているのは日本ぐらいですし、早く当たり前と思っている基準を変えていかなければなりません。
その当たり前の基準が自分の中で変わると、もう後戻りしようとは思わなくなりますが、そんなことはありませんか?
蘆塚
2023.09