ヴィンテージはサスティナブル

前回に続いて古着の事を書いていきます。

古着は全体的にサスティナブルであるとは思いますが、ファストファッションの物などは、耐久性を考えると使用できる期間は数年なのかもしれません。

その点、ヴィンテージ品は寿命が長いです。ヴィンテージについては以前にもふれたことがありますが、改めてヴィンテージの良さを確認していきます。

ヴィンテージといいましても色々なアイテムがありますが、私が好きなのはデニムです。

多分、好きな人は多いと思います。そのデニムですが、最大の魅力は何といってもカッコ良さであると考えています。

そのカッコ良さは、新しい製品のユーズド加工などでは決して表現できないもので、長年使用されたからこそ出来上がった色落ちやアタリといった唯一無二の表情があるからです。

ヴィンテージの定義が正確には何十年経過したものかは分かりませんが、デニムの場合は少なくとも1985年よりも以前の物を指すと思われます。ということは一番新しいものでも今から38年前で、それよりも古い70年、80年前の物でも未だ普通に着用している人は多いです。

それだけの年数を経ても、今なお現役で、恐らくこれから先、何十年も使用できると思われますので、その寿命の長さこそがヴィンテージデニムの価値を上げたと言っても良いと思います。

その寿命の長さとは、すなわち耐久性があるという事で、その耐久性が無ければカッコ良いと思う色落ちを楽しむ事もできません。

そう考えると、サスティナブルであるということは、まずは耐久性が無いと始まらないです。それはそうですよね、5年で寿命を終える製品はヴィンテージにはならない訳ですから、物づくりというものは耐久性を重視して計画するべきであると改めて思います。

その耐久性があることによって、デニムの場合は、ヴィンテージ品が新たな製品よりもカッコ良くて市場価値も高くなっていきました。

話は少し逸れますが、日本の住宅の場合は、現在の中古市場をみてみますと、新しい物件よりも古い物件の方が、金額が上がるなんていう価値観は存在しません。

そこには、高度成長期以降の住宅づくりの考えに問題があったのではないでしょうか。耐久性よりも低コストで工期短縮みたいな感じが優先で...

サスティナブルという観点からすると真逆であり、未だ住宅業界では、その感覚が染みついています。

住宅の事については次回以降に、もう少し書いていきたいと思いますが、何れにしましても当初数千万円をかけて建てたものが、30年後には、1本のデニムよりも金額が低いという現実があるというのは、非常に悲しいものです。

しかし、ヴィンテージデニムは本当に凄いですね。まさにサスティナブルの見本のように思います。

蘆塚

2023.10