パッシブハウスと日本の断熱等級
前回に引き続き、断熱の事を書かせて頂きます。
前回は断熱等級7とパッシブハウスとの断熱内容の違いを確認しましたが、今回は断熱等級5と6についても確認してみたいと思います。
先ずは、断熱等級5と6に必要な熱抵抗値ですが以下になります。
・屋根 断熱等級5仕様/熱抵抗値4.6 断熱等級6仕様/熱抵抗値6.6
・壁 断熱等級5仕様/熱抵抗値2.2 断熱等級6仕様/熱抵抗値3.3
※以下は前回の参考として
(・屋根 断熱等級7仕様/熱抵抗値8.6 パッシブハウス仕様/10.9)
(・壁 断熱等級7仕様/熱抵抗値5.5 パッシブハウス仕様/熱抵抗値9)
上記のように、断熱等級5と6を比較すると、屋根・壁ともに等級6が等級5よりも30%以上優れており等級6がしっかりしているように見えてしまいます。
しかし、この比較対象を等級7にすると、等級6で等級7との比較が、屋根76%・壁60%になり、等級5は等級7との比較で、屋根53%・壁40%になります。
このように比べると、等級5では不安しかありません。
更には、それぞれをパッシブハウスと比較してみます。
先ず、等級7ですが、パッシブハウスとの比較が、屋根78%・壁61%になります。
次に、等級6は、パッシブハウスとの比較が、屋根60%・壁36%になります。
そして、等級5は、パッシブハウスとの比較が、屋根42%・壁24%になります。
この差を見て頂くと、等級5は「絶対に無い」というふうになるでしょう。又、等級6にも不安を感じてしまいますし、皆さんの多くが「そこまで要らない」と言われる等級7であっても、少し差があるように思います。
結局は、比較対象が変わると見え方が変わるという事です。
これまでの日本の感覚では、等級5や6であっても「断熱性能は十分です」みたいになっているのが実情です。しかし、それは日本だけの感覚であって、海外と比べると群を抜いて低い性能です。
早く、その感覚ではダメということを認めていかないといつまで経っても、快適性や省エネルギー性というものが世界から置いてけぼりとなって、本当に相手にされなくなっていくでしょう。
ヨーロッパでは、日本の断熱等級7程度は標準的に建てられておりますので、日本でも本来は、それぐらいがスタンダードでなっていかないといけないはずです。
そして、その基準に慣れてしまったら、決して等級6以下で良いという発想は無くなると思いますし、その性能差を肌で感じるようになるでしょう。
蘆塚
2024.09