エコハウスを10年使用して分かった事 6~10
今回も前回の続きとなりまして、私がコンセプトハウスを10年使用して実感した10個のうち残りの5個を説明させて頂きます。(今回は6~10です)
6.換気システムのメンテナンスは楽
コンセプトハウスで使用している換気システムは、フレクトウッズ社(スウェーデン)のRDKRという第1種全熱交換型のものになります。
ダクト式で外部と繋がっている箇所はOA(給気)とEA(排気)の2ヶ所となり、室内には、SA(給気)とRA(排気)が6ヶ所ずつあります。
この機種の場合、フィルター掃除は、機器内2ヶ所を年に2回のみで、そのタイミングでエアコンフィルター及びSAとRAのそれぞれのグリルを掃除します。特に特殊な事をするわけでもなく掃除機で吸うぐらいのものですので、見た目のいかつさからすると掃除の仕方が物足りない感じがするかもしれませんが、非常に簡単に済みます。
7.コンセプトハウスの立地条件では吹抜けの窓を大きくとる必要があった
南側に吹抜けを設けております。しかし、建築計画時の私の認識では“吹抜けは、冬は寒く、夏は暑いもの”と決めつけておりました。その為、吹抜けの窓を大きくとる事はデメリットであると思っていました。
ただ、吹抜けを設けた理由は、1F南側に和室があり、その上の空間に広がりが欲しいと思っただけです。
そんな考えですので、吹抜けには比較的小さな窓で雰囲気重視の光を求める事となります。それは、結果的に日射取得量に大きな影響を及ぼす事になりました。
コンセプトハウスの南側には、隣家が建っており、もともと多くの日射取得量を望める立地ではありません。
現在の経験や知識があれば、迷わず、吹抜けに大きな窓を設けられる計画にしていたと思います。
8.バルコニーは要らなかった
前回の4と同様の理由ではありますが、室内の温熱環境が良いおかげで洗濯物は室内干しで大丈夫です。
従って、バルコニーをつくるスペースがあるならば、その場所は室内のランドリースペースにする方が断然良いです。
洗濯物を干す際に、わざわざ外に出る必要はありませんし、大気汚染によるバルコニーの拭き掃除をする必要もいりません。
更には、防水工事や笠木工事も不要で、後々のメンテナンスも楽ですから、今となってはバルコニーをつくる理由が見当たりません。
9.太陽光発電システムのFIT終了後はどうすべきか答えがない
この問題は、本当に答えがありません。
金銭面だけで考えると、今年度の補助金“子育てグリーン住宅支援事業”では、GX志向型住宅という太陽光発電システムを載せる建物には160万円の補助がでます。これぐらいの補助があるならば、設置する費用を考えるとメリットがあります。使用開始10年に売電買取価格が下がったとしても、あまり損をした感じはありません。
しかし、発電したエネルギーを無駄なく使用したい、貯めたいと考えていくと、蓄電池やEV車など結構なコストがかかります。しかも、耐用年数はどうなのか?など未知数な部分もあります。
エネルギーはインフラであるので、本来は国や自治体レベルで蓄電する方法やルール作りを行うべきではあるように思いますが、今のところ、その気配は無いので個人個人で考えるしか無いみたいです。
10.太陽熱温水器は確かに良いがFIT終了後を考えるとエコキュートでも良い?
前の9に繋がる話ですが、太陽光発電システムを搭載している場合は、その電力を個人で消費するのが得策のようであるので、給湯器は電力を使用するエコキュートが良いという事になります。
コンセプトハウスでは、1次エネルギー消費量を減らすという観点から太陽熱温水器を使用しております。これはこれで、非常に効率が良くてガス使用量も少ないので製品としてはお勧めできるものです。
しかし、先程からの話で太陽光発電システムを搭載し、その電力を自己消費するという選択肢のみの場合は、太陽熱温水器では発電した電力が使用できません。
出来れば、その選択肢が幾つかあれば良いのですが...
以上、エコハウスを10年使用して分かった事でした。この答えは、現在の考えであって、もしかすると、これから更に10年経過した時には、考え方が変わっている項目もあるかもしれませんね?今後、そこが、どうなるか興味深いところではあります。
蘆塚
2025.03