エアコンが効く環境は換気システムも働く
前回の内容に関係する事を書かせて頂きます。
昨年からのコロナ禍でライフスタイルが少しずつ変化していき、住環境に求めるものも空間づくりや設備的な部分など色々と要望が増えているように感じます。
その中でコロナ禍になってから関心が高まっていて、真面目に考えれば考えるほど難しいと思われるのが換気についてではないでしょうか。
そもそも日本の住環境で換気に対する意識はコロナ禍以前にあったのだろうか?という事が問題なのかもしれません。
今から40、50年以前の日本の木造建築は断熱材を入れるような仕組みではありません。昔ながらの土壁などで構成されたものなどは柱と壁の間に隙間がありますし、又、外部に面する建具も現在の窓に比べると隙間も多く、ある意味換気が良いのかも知れません。
現在でも、お寺や神社はそのような構造で対応年数も結構長いですし、個人的には非住居の建築は日本文化を残すという意味でも、そのままの造りで良いと思います。
しかし、実際に人間が生活する住居(住宅)のように断熱材を必要とする建物は、その40、50年前の断熱材を施工しだした時から、行政やビルダーに対して、技術的なちゃんとした教育や指導が出来ていないように思います。
断熱材が入るという事は気密が必要になります。又、気密が確保された空間には換気が必要になります。というように断熱材だけが入れば良いわけではありません。
しかし、断熱材が使用されてから以降の住宅建築においても昔と意識は変わらず、気密と換気についてあまり真面目に扱われていないです。
気密に関しては、現在の法的基準では全く決まりごとがありませんし、換気については法的な基準はございますが、本当に最低限の基準であり、実際にその換気機器がどのような働きが出来ているかの確認などは一切ございません。
したがって、しっかりと換気について理解を深めて計画するという習慣が全体的に低い印象であります。
大原則として断熱・気密・換気というのはどれが欠けてもダメですし、全てが上手くできていると、室内環境は良好で換気はしっかり機能します。
又、当たり前かもしれませんが断熱気密性能が高く換気が上手に働く空間は、エアコンの効きも良く温度ムラが出来にくくなるものです。
普通に考えると、とてもシンプルな理屈でありますが、未だその考えが普通に出来ない環境が今の日本かもしれません。
蘆塚
2021.09