良い窓とは?

前回に引き続き窓の事を書かせて頂きます。

海外から後れをとっていると言われる日本の窓ですが、確かに全体の平均では明らかに性能数値で劣っています。

しかし、ここ十年ぐらいで、一部の商品に関しては、性能数値に限って言いますと、ヨーロッパの製品に近いものもでてきております。

その事は、非常に良いと思うのですが、性能数値以外の、そもそもの造りとしての考え方を見直していかないと、本当の意味での同等品が造れない気がします。

日本の窓の場合、大手サッシメーカーが数社あり、多分、これまで使用されている殆どの窓をその数社が供給しています。その為、大手メーカーの長年の慣習や製造側の都合というものが、製造に関して未だなお大きく影響しており従来通りの窓形状を前提として現在でも設計されています。

日本では長らく“耳付きの半外付け”アルミサッシが主流であります。この形状が登場したのが何時なのかは正確には把握しておりませんが、昭和の高度成長期であることは間違いございません。

その当時は、住宅に対しての断熱性能・気密性能を確保するといった考えは薄く、窓に求めるものは、“採光がとれる”、“通風できる”、“施工性が良い”などで、今とでは求められているレベルや内容が異なります。

その為、現在のように建物全体や窓に対しての断熱性能・気密性能というものが必要になった状況においては、その“耳付きの半外付け”形状では、いくらフレーム素材やガラス種類をグレードアップしても本当に良い窓とは言えなくなっています。

 

では、何故、“耳付きの半外付け”が良く無いのか?をお伝えします。

このタイプのものは、皆さん馴染みがあると思われますが、窓フレームが外壁面よりも数センチ出ています。すなわち、窓フレーム側面が、まともに外気にさらされます。

性能が良いとされる樹脂や木製フレームの窓であっても、その厚みはたかだか数センチでありますので、冬場の冷気や夏場の熱気というものは、伝わりやすい状態であります。これが所謂“熱橋”といわれるものです。

一方、ヨーロッパをはじめとする海外製品の多くは、“耳のない内付け”形状となりまして、耳が無いために外壁の厚みの中で好きな位置に窓を設置できます。ちょうど画像のような取付になるのですが、外壁面よりも内側に設置できて、外から見ると窓が奥まって見えます。

この位置に取付けることで、窓側面は完全に断熱層の中に入り、熱橋を防ぐことが出来ます。

 

非常に簡単な理屈ではありますが、なかなか、その簡単な変化が出来ないのが、今の日本メーカーです。

昔と比べると、色々な面で、その求められているレベルや内容が異なっており、人々のライフスタイルも変化をしております。

それによって、モノづくりを行う側は、変化に対応し続けないと、本来は生き残っていけないものと考えますが、日本の住宅産業にその危機感があまり感じられません。

日本の大手窓メーカーも、早く世界基準での製品づくり向かって頂きたいと切に願います。

 

蘆塚

2024.10

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