パッシブハウスの断熱工事
9月に入って少し暑さは和らぎましたが、まだまだ真夏の気候ですね。
さて、今回はパッシブハウスの断熱工事ついて書かせて頂きます。
といいましても、あしづかホームでは、普段、建築させて頂くパッシブハウス以外のエコハウスも断熱工事の材料や方法は、殆ど変わりございません。
強いて言えば、厚みや密度が少し違うぐらいです。それでは、一体、どの程度違いがあるのか具体的に見ていきたいと思います。
先ず、使用する材料の種類ですが、基本的なところは同じです。
屋根と壁は、裸の高性能グラスウール(袋に入っていないもの)ですし、基礎は防蟻処理が施されたEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)になります。
通常は標準的に断熱等級7(HEAT20 G3)程度の建物を造っているのですが、この場合は、屋根断熱の厚みを330mmとし、壁断熱の厚みを210mmにしていることが多いです。
一般的には、非常に分厚い断熱で熱抵抗値も良いとされる仕様です。
しかし、パッシブハウスの場合は、その仕様でも少し断熱性能が足りないので、これまで造ってきたパッシブハウスでは、屋根断熱を360mm、壁断熱を300mmとしています。
通常の仕様と比較すると、断熱の厚みは屋根が+30mmで、壁が+90mmになります。
因みに、断熱材の種類は同じ裸のグラスウールを使用するのですが、実は、見た目では違いが殆ど分からないレベルで、密度の異なる製品がございます。密度が異なることで熱伝導率に性能差がでます。
その熱伝導率を比較すると、通常使用しているの製品は0.038W/(m・K)になります。対してパッシブハウスで使用するものは0.033 W/(m・K)となりますので、15%程度性能が良いです。
僅かな差に思われるかもしれませんが、結構、この差が響いてくるのも事実です。
それでは、もう少し分かりやすく、それぞれを熱抵抗値で比較すると以下になります。
・屋根 断熱等級7仕様/熱抵抗値8.6 パッシブハウス仕様/10.9
・壁 断熱等級7仕様/熱抵抗値5.5 パッシブハウス仕様/熱抵抗値9
この差をご覧いただきますと、日本においては抜群に断熱性能が良いとされている断熱等級7でも、パッシブハウスを造るとなると断熱性能が足りないという事がお判りいただけると思います。
これまでの日本の既存住宅と比較すると、断熱等級5とか6といった性能で良いように思われる方もおられるかもしれませんが、何処を物差しにするかで物事の判断は変わってくると思います。
次回に、もう少し、その辺りについても書かせて頂きますので宜しくお願い致します。
蘆塚
2024.09