躯体構造(断熱・気密)で確認したいところ
今回は、前回の続きで、躯体構造についてのお話しですが、医療施設に限らず住宅であっても躯体構造の考えは同じです。
その中でも、断熱・気密の施工は、何が正しいのか?よく分からないという方も多くおられるのではないでしょうか?
現在の日本では、近年ようやく“高気密高断熱”という言葉が一般化しております。しかし、一般化したことで中途半端なものまでが一緒にされており、一般の方々からすると見極めが難しいのかもしれません。
そこで、構造見学など行う際に最低限おさえておきたい部分を紹介します。
先ず、断熱・気密ですが、施工を行ってから、しばらくして性能や耐久性が下がっていてはいけません。当たり前のことですが、長期間(数十年)、その性能が持続するという考えのもとで、計画する必要があります。そこが理解出来ていれば、断熱施工と、気密施工では、それぞれが、別の工事という認識のもと行われるはずです。
“断熱と気密を1つの材料で行う”というような夢のような施工方法は自然と選択しなくなると思います。
それでは、画像1枚目ですが、断熱材の施工です。市場には断熱材の種類が非常に多く存在します。いずれも施工方法や手順を間違わずに、しっかりと施工されていれば問題ないと考えております。
断熱施工で、注意してご覧いただきたいのは、躯体構造(梁や柱)に対して隙間なく施工が行われているか?どの場所も一定の厚みで施工されているか?を確認して頂きたいです。
あしづかホームでは、“裸のグラスウール”を基本的には使用しますが、何故、“裸のグラスウール”を採用しているのか?
一般的に、“裸のグラスウール”は施工が「難しい」とか「手間が掛かる」といわれます。しかし、それは大きな誤解で、確実な施工を行うには一番適した材用であると考えています。
施工中に隙間が生じれば、直ぐに気付く事が出来ますし、材料自体のサイズ加工も容易にできますので細部への施工も確実に行えます。
また、厚みも柱サイズ等に合わせて選択できるので、様々な部分で一定の性能が確保できます。
続いて、画像2枚目は気密シートを施工しているものです。冒頭に申し上げたように、断熱材の施工と、気密処理の施工は別物です。
本来は、室内側に気密シートを施工するという事が、“高気密高断熱”の基本であると思います。それは、いかなる断熱材であってもです。(透湿抵抗を意識しリスク回避している例外有り)
ですので、気密シートを施工しているか否かは要確認事項であります。
細かい事を言い出すと、気密シートにも幾つか種類がございますので、そのタイプによっても耐久性等に影響がでるのかもしれませんが、先ずは気密シートを貼り、しっかりと気密処理されていることが、長期的な気密性能の安定につながると思います。
また、使用しているテープや、貫通部の処理の仕方というものも関わってきますので、そのあたりも注意して確認したいですね。
断熱・気密工事は建物が完成して最終的には隠れてしまう場所ですので、そこに重きを置かず計画・施工を進めると、どうしても何かを省きたくなるのかもしれません。
しかし、それは後に断熱材の劣化や、その周辺の結露を招き建物の耐久性を低下させてしまう恐れもございますので、構造見学等を行う機会がある方は、そういうところを意識して確認して頂ければ理解が深まるのかなと思います。
蘆塚
2024.04