眼科医院の躯体構造
今回は、以前にご紹介させて頂いた、現在工事を進めている眼科医院さんの躯体構造について書かせて頂きます。
性能につきましては、耐震、断熱・気密のいずれもが、普段から弊社で建築する住宅と変わらず、耐震は等級3、断熱は等級7、気密はC値=0.5以下という水準で計画しております。
構造は、木の柱や梁を使用するいわゆる木造で、筋交いや面材を用いて構造計算を行った耐震等級3の性能の内容です。
断熱材は、屋根・壁に裸のグラスウールを施します。屋根が330mmで壁が210mmになります。屋根は、120mmが2層に90mmが1層。壁は120mmと90mmが各1層。
基礎については、EPS(防蟻タイプ)で立上り100mm、ベース50mmです。
そして、気密は、室内側に気密シートを貼り確保致します。更には耐力面材でも気密はしっかりとるようにしています。
1枚目の画像は、柱の外側に耐力面材が貼られて、そして、その外側に付加断熱が施工されている状態です。付加断熱は90m厚の高性能グラスウールで、充填断熱が柱通りの縦向きに施工するので、少しでも熱橋(ヒートブリッジ)を減らすという考えから、充填断熱とは逆の横向きに施工していきます。
もちろん、木桟を用いないで施工する方が、熱橋は無くなる訳ですが、現在、国内において入手できる断熱材で、長期的にみて安心できるものが見当たらないという理由から、弊社では木桟を用いて施工する方法を選択しております。(基本的には長期的に性能が持続することを優先して計画・施工します。)
次に、2枚目の画像ですが、室内から見た屋根です。屋根の構造材は、全てが登り梁とします。これにも理由がございまして、梁背を240mmに統一する事で、120mm厚の断熱材2層の施工が行いやすいのと(登り梁下に90mmの断熱を1層施工します)、天井断熱に比べ気密シートが貼りやすく、しっかり気密がとれます。
あと、耐震面では登り梁上に面材を貼ることで水平構面となり強度も増しますので、この施工方法は、いいこと尽くめのように思います。
次回も、もう少し続きを書かせて頂きますが、地震等の災害時、日々の快適性、また、光熱費やカーボンニュートラルといった様々な事を考えていくと、住宅だけではなく、非住宅であっても、上記のような建物性能が不可欠であると考えております。
しかし、不思議な事に実際に、このようなスペックの建物は、日本では、まだまだ少数派であり、知らない人も多くおられるという状況ですから、早く“日本のスタンダード”を変えていきたいです。
蘆塚
2024.04