高気密高断熱住宅の計画は設計段階から始まります

今回は、前回の“高気密高断熱住宅は計画的に”の内容を踏まえて、実際には、どのような計画をしていくのかを具体的に確認していきたいと思います。

先ずは、設計段階で何に気を付けるかといいますと、非常に沢山ありますが、今回は断熱・気密という部分だけをフォーカスし日射取得や換気、その他の事は一旦、切り離して考えます。

それでは本題ですが、断熱層と気密ラインという言葉は皆さんご存じでしょうか?

いずれも言葉通りですが、断熱層は断熱材の入る部分で断熱層の内側が室内になります。窓や玄関ドアも断熱層に入ります。

気密ラインは、気密をとる部分を建物全体で1つの線で結びます。断熱層に沿って内側なのか外側なのか?また、両方でとるのか?そこを明確に決めて計画します。

基本的に、この2つをしっかりと決めて、それぞれ途切れることなく連続するようにしておかなければなりません。

例えば、屋根下の断熱層・気密ラインは、屋根断熱と天井断熱のどちらの内容なのか?床下の場合は、床断熱と基礎断熱のどちらの内容で進めて行くのか?

また、そもそもの事にはなりますが、途切れることなく連続させなければいけないという意識が働くと、基礎断熱の場合は、内断熱では必ず立上り部分で途切れますので、外断熱でないといけないという考えに自然になると思いますし、屋根・天井、壁、床(床断熱の場合)の断熱については、いずれも充填断熱のみでは、構造材等の間に施工する為に厳密言えば断熱材でないところは熱橋となりますので、付加断熱などによる複層の施工を行いたいとなるはずです。

気密ラインについても連続させていくためには、矩計図や断面図で予め想定して、途切れてしまいそうな箇所をどのように納めるのか確認して、その部分に対しての材料の使い方や処理の仕方を決める必要があります。

基礎周辺を例にすると、そういう部分は何点かあります。基礎と土台の間や、基礎立上り部分(土台)の気密シートの処理の仕方などです。

どのようなパッキン材やシートを使用して、どう処理のか?そこが、あやふやですと現場は混乱して上手く進みませんので、職人さんに説明して理解して頂くことが大切です。

結局、この辺りを計画的に考えていない場合は、後から適切な処理が難しいので厄介なことになります。素人考えで、後からコーキング処理すれば何とかなると思われがちですが、実際にはそれでは、なかなか上手くいきません。

少し、手間暇かかりますが、そこを慎重に進めていく事で精度は少しずつ向上していくのではないかと思います。

次回に、もう少しこのお話の続きを書かせて頂きますので宜しくお願い致します。

蘆塚

2023.12