高気密高断熱住宅の見極め 理想を言えば
前回、前々回は、“高気密高断熱住宅”の見極め方の最低条件を2つ紹介させて頂きました。
紹介しました条件は、あくまでも最低限であり、他にも沢山の見極めポイントがございます。
というか、気密測定を行う事と、UA値を計算する事だけでは、良いお家が建つとは限りません。
実際のところは、その中身が大切でありますし、気密測定やUA値の計算結果があまり良く無ければ意味はありません。
そこで、今回は、それでは最終的にどのような条件をクリア出来ればベストなのかを書いていこうと思います。
恐らく、その他、沢山の見極めポイントを一つ一つあげていくとキリがないのかもしれませんので、先に結論を出来るだけ短い言葉で表現しますと、「パッシブハウスを造る技術を持つビルダー」であるかどうかという事になります。
パッシブハウスとは、皆様もご存じのとおりドイツのパッシブハウス研究所が定める世界的に有名な省エネ基準の建物です。
“最低条件2つ”からすると大きく飛躍しているように思われるかもしれませんが、パッシブハウスを造るという事は、断熱・気密の施工技術、換気・空調設備の施工技術、温熱計算の知識、そして設計技術と、全ての面において一定のレベルでいないと成しえません。
分かりやすいところですと、断熱仕様は付加断熱が当り前で断熱等級7程度以上、気密測定ではC値=0.2を下回る事は必須になります。
こういう事を書くと、日本では未だに凄くハードルが高い事のように扱われてしまいますが、決して、そのような事はありません。
日本各地では、多くのビルダーが実際にパッシブハウスを建てていますし、今や高気密高断熱住宅に対して真面目に取組んでいるビルダーからすると一度はチャレンジして認定も受けておきたいと思える省エネ基準です。
今回は、パッシブハウスの認定を取得するか否かは、一旦、別問題としまして、常にパッシブハウスを造るレベルでの仕事をしているかという事が大切であるように考えております。
例えば、先程触れました気密性能(C値)では、パッシブハウス物件で、たまたま、C値が基準をクリアしたという事ではいけません。
パッシブハウスを造っているビルダーであれば分ると思いますが、たまたまでは、リスクが高すぎて、正直なところ、そのレベルであれば躊躇してしまうと思います。
常に、どの物件でも、パッシブハウス基準で気密性能を出しておかないと、自信を持って挑めませんし、何より、気密の工程に対していい加減な取組みをしないと思います。どのようにすれば、基準をクリア出来るかを考え、情報を入手し、ノウハウを掴む努力を皆行っているはずです。
そういう努力をしているビルダーからすると、気密性能がC値=0.5より悪いなどは本当に考えられないでしょう。厳しく聞こえるかもしれませんが、それが現実です。
ですので、これから、ビルダー探しをされるエンドユーザーの皆様は、そういう目線で探していただくと間違いや失敗はおこりにくいと思いますので、「パッシブハウスを造る技術を持つビルダー」であるかどうかというものをビルダー選定の判断材料の一つにしてお考え頂ければと思います。
蘆塚
2023.11