高気密高断熱住宅の構造見学会で確認したいこと

今回は前回に続く内容ですが、実際に現場での構造見学会に参加した際、確認したい箇所は“どういうところなのか?”をまとめてみます。

先ずは、その建物が高気密高断熱住宅(エコハウス)であるという事を前提で書かせて頂きますが、そもそも、その建物が気密測定を行っているかいないかの確認は事前にしておきたいところです。

もしも、気密測定を行わない(予定もなし)という事であれば、見学に行く必要は無いと思います。

気密測定を行う会社と行わない会社では、施工精度や仕事に対する考え方が根本的に違うと思います。厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが気密測定をしない建物で高気密高断熱住宅(エコハウス)を謳うべきではありません。なぜなら、気密測定を行わないという事は、高気密であるかどうかの判断はできないからです。

では、現場で確認していきたいポイントですが、構造見学のタイミングがどこの工程にあたるかによってポイントも異なるのですが、恐らく一番多いタイミングは断熱工事、気密工事が出来た状態になると思われますので、そこでのポイントで書いていきます。

1.断熱材の厚みが確保できているか

断熱材の種類につきましては、何が良い悪いとあえて触れませんが、いずれの種類であっても屋根、壁のそれぞれが設計上決められた厚みで施工なされているかが重要です。

例えば柱サイズが120mmの場合は、断熱材の厚みも120mmの状態で入っていないといけませんが、明らかにサイズの薄いものが入っていたり、柱と同サイズの材料であっても押しつぶされて厚みが薄くなっていると性能通りの効果は得られません。

又、電気のコンセント類が断熱層に入っているケースがございますが、出来る事なら避けたいです。付加断熱が施されていれば未だマシかもしれませんが、コンセントボックスの厚みが30mmとしたときに、柱充填のみの場合は柱サイズが120mmで25%の断熱欠損、105mmの場合は28.5%の断熱欠損を生じます。

設計、施工の計画段階で回避できることは、やっぱり回避しておきたいですね。(参考/1枚目画像)

2.気密の処理がしっかりなされているか

気密処理を行うポイントは非常に多いので、そこを初めて現場を見学する方が見抜くのは難しかもしれません。ただし、比較的分かりやすい判断材料をお伝えしますと、それは施工の綺麗さがどうかという事です。

私がこれまで見てきた建物で共通して言えることは、気密の値が良い物件は施工がきれいです。

シートの張り方、テープの貼り方がまず綺麗です。綺麗に施工するには、とにかく丁寧に施工するという基本の積み重ねなのかと思います。それが数をこなしていく中でスピードがついていくだけで、初めからスピードを求めて施工している現場は、あまり良い結果が得られません。

大体、気密の値があまり良くない現場は、全ての処理が後手後手になっており、それをテープでカバーしようとしているので、やたらテープの使用量が多く同じ個所に何枚も貼られています。

あと、気を付けたいのは気密測定以後に壁の貫通部を設けるのはNGです。計画的に外部への配線、配管等に使用するスリーブを仕込んでおく必要がございますので、その辺りの処理も見逃せないところです。(参考/2枚目画像)

3.窓と窓周りの処理

窓が熱損失の大きい箇所という事は皆様もご存じかとは思います。しかし、未だに、そこをおろそかにしている建物を多く見かけます。

フレームは木製か樹脂製で、ガラスはトリプルガラスが鉄則になります。又、窓の取付部分の処理も重要で、窓本体と躯体(柱類)の隙間に熱橋が出来ないような仕組みにしたいところです。

窓と躯体の隙間には断熱性能を有するパッキン材や断熱材を施す必要があり、隙間が極端に狭い場合(3mm以下)はそういった材料を施す事が出来なくなりますので10m程度の幅を目安に計画し材料が確実に施工できるようにしたいです。(参考/3枚目画像)

以上、まだまだ見るべきポイントはございますが、先ずは書かせて頂いた内容を確認してみてください。この内容だけでも意識して現場を見て頂くと違いが分ると思いますので、妥協のない良い家づくりの為に参考にして頂ければありがたいです。

蘆塚

2022.02