パッシブハウスのUA値やC値は?

前回、パッシブハウスの基準について少し触れておりましたが今回は、もう少し続きを書かせて頂きます。

パッシブハウスの基準が年間暖房需要・年間冷房需要の値で決まるという事でしたが、それでは、その基準をクリアするには一体どのような躯体性能が必要なのか?という事をみていきたいと思います。

先ず基本的にUA値やC値に定めがございませんのであくまでも目安として頂ければありがたいです。又、立地条件、建物形状、建物面積によっても状況は異なるため、今回は滋賀県で木造2階建て(総2階)延床35坪程度という場合で考えていきます。

パッシブハウスにはUA値の決まりが無いということですが、だからといって低い性能で良いという訳ではありません。値としては現在の日本では非常に厳しいと思われるものになりましてHEAT20で例えるとG3(UA値0.26)程度は必要になります。

ただし、UA値だけを良くするには窓を極力なくしていけば有利には働きますが、パッシブハウスは太陽の日射を得て冬場のエネルギー使用量を低くする考えですので南側にある程度の面積の窓を確保していきます。(パッシブハウスに限らずエコハウスの基本的な考えです)

その為、屋根や壁の断熱強化はもちろんのこと、窓のガラス、フレーム共にハイスペックなものが要求されます。

このあたりが設計の際に気を使うところで、外皮性能をキープしつつ窓面積も確保するという、バランスをとりながらのシミュレーションを重ねて行わなければなりません。

極端な例をだしますとUA値が0.1台であっても日射取得が上手にできていないとパッシブハウスにはならないという事です。

次に気密基準についてですが、こちらも一般的によく使うC値ではなく「50Paの加圧時の漏気回数0.6回以下」というあまり聞いた事の無い規定になっております。

UA値同様に決して気密が悪くても良いですよという訳では無くて、あくまでもレベルの高い施工が求められます。

では、わかりやすくC値でどれ位かといいますと、およそ0.2以下にしないといけません。ただし、気密性能も先ほどの年間暖房需要・年間冷房需要にも影響がでてきますので、C値0.2よりはC値0.1にしておきたいというふうな心境になり、結構シビアではあります。

このように、パッシブハウスにはかなりの躯体性能が必要になるという事がお判りいただけたとは思います。又、パッシブハウスには躯体性能以外にも南側からの日射取得しやすい立地条件も求められますので日本の住宅地では、どの敷地でも達成できる訳ではなく、決して簡単な事ではありません。

パッシブハウス基準はあくまでも一つの指標であり、無理な立地条件で必ずしもそこをクリアしないといけない事もございません。

ただ、快適かつ使用するエネルギー量を少なくする建物が求められる時代に、この考え方を取り入れて、自身の敷地で工夫しながら最大限パッシブハウス基準に近づけて建築する事によって、これまでの性能があまり良く無い建物とは、価値観が180度変化するような生活が生まれる事になるとは思います。

蘆塚

2021.11